転職休暇、満喫中

新卒から6年間働いた会社を退職。転職する前に、やってみたいことを思いっきりやってみることにしました。大好きな南フランス・ニースで地元民のような暮らしをしたい!という夢を叶えたのち、デンマークでフォルケホイスコーレ留学をします。社会人留学に関する情報や生の留学体験記をお届けします。

【デンマーク・FRILAND発】生きたい場所を創る人たち(後編)

Nordfynsフォルケホイスコーレの修学旅行で見学したクリスチャニアに続き、独自のコミュニティを形成しているFRILAND(フリランド)という場所も訪問しました。

そこでの暮らしのレポートを書きます。

 

「生きたい場所を創る人たち」の後編としたいと思います。

 

【デンマーク・クリスチャニア発】生きたい場所を創る人たち(前編)

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フォルケホイスコーレとは?

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FRILANDとは?

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FRILANDとは、デンマーク・ユトランド半島に位置する「実験的」コミュニティです。

場所は、デンマーク第二の都市・オーフスから車で30分ほど。

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設立は2002年。

現在は、40世帯、大人75名、子供40名ほどの集合体です。

 

FRILANDの設立の目的は、持続可能な社会や住宅ローンなし、自足自給を含めた自営業に焦点を当てた、「オルタナティブな生き方」を実験すること。

 

創設者の思想に共感した土地オーナーが土地を開放したことからコミュニティ創設が実現したそうです。

(とはいえ、費用は支払っている模様)

 

住宅ローンからの脱却等、考え方はクリスチャニアに通じるものがあります。

住宅ローンが人生の自由や選択を狭めるという思想ですね。

高度経済成長の正体とは、「均一的な教育」「住宅ローン」「マスメディアによる消費者購買行動」の3点セットだと僕は考えています。つまり、国民に均一な教育を与えた上で、住宅ローンにより家計の自由を奪い、マスメディアによる世論操作を行い、新しい需要を喚起していくという戦略です。(日本再興戦略、落合陽一)

 

とはいえ、家はどうするの?経済的に自由になるには?どういう生き方すればいいの?に対する問いを模索しているのがFRILANDです。

 

FRILANDのルール

FRILANDはデンマークの法律下にあります。

その点、クリスチャニアはヒッピー主体の自治区、FRILANDはエコビレッジと呼ぶことができます。

 

FRILANDの目的のひとつとして、住宅ローンを組まず、経済的に自由になることにあるので住宅は自分たちで建てます。その際、環境に配慮した藁や木材、しっくい、貝などの廃材を使うのがポリシー。

 

「家って自分で建てられるものなの!?」と驚きますが、初期からFRILANDにいた人たちからの様々なノウハウが蓄積されているんだそう。

自然由来の素材を使用した断熱材の説明を受けました。仕事の傍ら家の建設を行うので、建設に2〜3年かかるそうです。

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藁とかしっくいとか、家の耐久度大丈夫…?と思ってしまったのですが…(本当にごめんなさい)

お家はこのような形で大きく、丈夫そうです。知恵ってすごいですね。

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自分たちで建設しているため、このような遊び心満載の建物も。かわいい!

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貝ベースの屋根を実験中。

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子供の遊び場も手作り感満載。

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住民の会議は年に6回。そこで、村の課題等を共有。

ゴミの整理や掃除など共有部の管理は当番が決まっているそうです。

収穫祭やクリスマス、季節の行事はパーティーをすることも。

 

このようなエコビレッジってもっと密な関係性なのかと思っていたので、想像していたより集会の頻度が少ない。

 

それでも助け合いの精神は浸透しているそうで。

例えばある家庭で子供が生まれたりすると食事作り等、住民総出で助けに行くそう。

逆に、「今は住民の集まりにあまり参加したくないよー」という時には、当番をスキップすることも認められています。

 

参加は義務ではないけれど、いつでもオープンで、必要な時に手を伸ばす。

これは「ヒュッゲ」の記事で書いた「幸福感につながるゆるい繋がり」に通じるものがあると感じました。

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FRILANDでの暮らし

家の中を案内いただき、FRILANDでの暮らしを紹介していただきました!

こちらご夫婦でFRILAND在住の女性。

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 農作物の販売やオーガニック農法の書籍出版で生計を立てているとのこと。

そもそも食料は自給自足。電気代は電気を引いておらず太陽光パネルのみ。水道はFRILAND独自の循環システムを活用しているので、固定費がほとんどかからないのだそう。

 

これが全部手作りで廃材!?と驚くほど、素敵な作り。。

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電気を引いていませんが、冬はこちらの手作りオーブンが暖房替わりになるそうです。これでデンマークの冬でも充分乗り越えられるとのこと。

(そもそもデンマーク人は寒さに強い気もしますが)

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特に印象に残ったのがキッチン。完全に「かもめ食堂」の世界観。

素敵すぎる…

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冷蔵庫もないので、こちらの備蓄庫が冷蔵庫代わり。ジャムなども手作りです。

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お風呂のタイルも遊び心があって好き。

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家の周りには「パーマカルチャー」に則ったガーデンが。こちらにてありとあらゆる食料を自給しているのだそう。

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鴨たちは食べられる運命なのかは聞けなかった

 

まだまだやりたいことがあるから様々なことを試していく、とこれからの野望を熱く語る女性。

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 「やりたいことがあるなら創ればいい」

「理想とする生き方があるなら、やってみればいい」

そんなシンプルなことに気付かされたFRILAND。

 

やりたいことがある。

生きたい場所がある。

理想とする生活がある。

 

じゃあ、村でも家でも仲間でも作っちゃえばいい。

そこまで、いろいろな制限を取っ払って考え、実現しているのってめちゃくちゃクリエイティブだなぁと。

逆に、自分はそこまで突き詰めて考えたことがあるのかと振り返りもしました。

 

FRILANDもまた、クリスチャニアと同じく近隣住民との共存をうまく保っているとのことです。

(近所の幼稚園がよく遊びに来ている)

 

別の価値観を否定するわけでも、遠ざけるわけでもなく、尊重し合っているところに、またひとつデンマークを感じたのでした。