デンマークのコペンハーゲン中心部にある「クリスチャニア(christiania)」という場所をご存知でしょうか。
フォルケホイスコーレでの修学旅行で見学してきたので、写真を交えてご紹介します。
※クリスチャニア内には、「写真禁止」エリアが存在します。本記事に掲載している写真は有償のガイドさんに確認をした上で撮影したものです。ご自身で行かれる場合は、充分に注意を払ってください。
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クリスチャニアとは?
クリスチャニアとは、コペンハーゲン中心部に位置するヨーロッパ最大級のヒッピーコミュニティです。
特徴は、なんと言っても独自の決まりで運営される自治区で、デンマーク政府の治外法権となっているところ。クリスチャニアの国歌や国旗もあります。
ホームページも運営。
1970年代に元軍用地が空き地になったのをきっかけに、不法滞在者やホームレスが移り住んだのが起源だそう。
その後、反体制主義や自由を掲げる人々がコミュニティを形成するようになり、現在「ヨーロッパ最大級のヒッピーの楽園」と呼ばれるに至ります。
建国以来、警察や地元住民と衝突を繰り返してきました。
ですが、「共存」する形で落ち着き、1994年からは公共料金や税金はデンマーク政府に支払う形に。
現在では、年間約50万人が観光客が訪づれる人気観光スポットです。
クリスチャニアのルール
クリスチャニアに一歩踏み込むと、周りとは違うディープな世界観に圧倒されます。
そんなクリスチャニアのルールは、9つの禁止事項だけ。
- 武器、暴力、防弾服、バイカー服、私用車、火薬製品の売買、花火、盗品、ハードな「葉っぱ」
ハードなものはダメということは、ソフトはものは売買されているということです。2004年に禁止されていますが、現在でも完全になくなったわけではないということは独特な匂いから感じ取ることができます。
なんだか危険なイメージを持つ方もいるかもしれませんが、不思議とピースフルな雰囲気と秩序が保たれているのがクリスチャニア。
これがヒッピーの「ラブ・アンド・ピース」?
クリスチャニアの場所
コペンハーゲン中央駅から約3.5キロの場所に位置し、コペンハーゲンのど真ん中にあります。
東京で考えると、霞ヶ関から3.9キロくらいの位置にある四谷にあるのと同じ感覚です。
四谷というと東京のど真ん中。
ここに政府が関与しない治外法権があるって想像できますか?
ここからもデンマークの多様性への寛容さと、「全ての人は平等に人権を全うすべき」という高福祉社会のベースを感じます。
クリスチャニアの全体像はこちら。
川を挟んだ2つのエリアで構成されており、34ヘクタールの広さに1000人弱の住人が住んでいます。
東京ドーム約7個分の広さ…意外に広いです。
これだけの広さと住人を治外法権として、事実上容認しているデンマーク政府。なんだか日本人の感覚からすると理解の範疇を越えているところがあります。
(実際には容認ではなく、一定の監視のもとってことらしいですが…)
クリスチャニアの様子
こちらが、クリスチャニアの入り口。
木製の鳥居のような門にトーテムポール風の彫りが施されています。
ちなみに、このゲートの裏側(つまり出る時に見える)には「You are now entering the EU」と書かれており、自分たちはEUではないよ!取り込まれてないよ!という意思を明確に示しています。
特徴的な風景として、カラフルなストリートアート。
クリスチャニアでは落書きが自由にでき、ヒッピー文化が表現されています。
こちらもストリートアートで溢れたスケートボード場。
クリスチャニアで生活している子供たちが遊んでいました。
クリスチャニアは子供と若者が多く、住人の2〜3割は若者らしい。
学校や病院も整備されています。
これは確か改装中の病院、だったはず。
クリスチャニアの住人は、家を自分たちで建てることになっているので、建築物も個性が溢れています。
家の建築を外部に頼むと、多くの人が銀行に多額の借金をすることになります。
人生の長い期間を銀行への借金返済のために働く(=生きる)ことを避けた「反体制」の表現なんだそうです。
こちらはクリスチャニア内のオーガニックレストランで食べたご飯。
クリスチャニアでは、反資本主義ということで、グローバル化、画一化された物を避けるためオーガニックを基本とした自給自足をしています。
敷地内には、完全オーガニックの八百屋や幼稚園もあることでも有名です。
自然も多い。時間の流れもゆっくり。
個人的に青森県恐山に近い空気感を感じました。どこか違う世界かな?という雰囲気です。
クリスチャニアでの注意点
クリスチャニアでは「Pusher Street」というエリアは写真撮影に禁止になっています。
面白半分で撮ると、住民の方にキツく当たられるらしいので決してしないようにしてください。
また、住民の方に過去を聞くのもタブーとのこと。
ということを見学した時には知らずに、ガイドさんに聞いちゃいました(汗)
有料のガイドツアーということで優しく答えてもらいましたが、「今を生きる」住人たちには嫌がられるみたいですね。
夜は行っていないですが、初心者は避けた方が無難そうです。
価値観を揺さぶられるクリスチャニア
まず、首都の中心地にこんなにも毛色の違う人たちが容認されているというデンマークの社会に対して惚れ直すに近い感覚。
デンマーク滞在6ヶ月目を迎えて、デンマークは知れば知るほど好きになっていく。
それが、さらに深くなりました。
人や人権に対する考え方がどこまでも「正しく」て、惚れぼれします。
クリスチャニアに行くと「自由ってなんだ?」という問いが止まらなくなります。
確かに、道端で瞑想している住人の人たち、自由そう。そして、幸せそう。
(歯はボロボロだったけど…)
だけど、世間とはやや隔離された空間。
移住する時、家族や友達と違う価値観を生きることは不安ではなかったか。
「人と違う」ことで差別はないのか。
そこに自由はあったのか。
常識とか一旦なしにして、自分の信じる価値観で生きられる場所を創る人たち。
学生時代から何だか流れに乗って生きてきた自分としては、こんな大胆に生きている人もいるんだ、という驚きとなぜかちょっとホッとする感覚を味わいました。
感じることは人それぞれだけど、
コペンハーゲンに訪問した際には寄ってみてください。
ちなみに、クリスチャニア出身の歌手LukasGrahamが最近デンマークでは人気です。