ビール好きな私は、デンマーク・フォルケホイスコーレへの社会人留学中も毎日のようにビールを飲んでいました。
その際に出た空き缶等のリサイクル方法に感銘を受けたので、ご紹介します!
- デンマークは環境先進国
- 日本のエネルギー事情は?
- デンマークのリサイクル方法は?
- 楽しく積極的にリサイクルできる仕組み
- 日本で同じリサイクル方法が実現できるか?
- デンマークは社会制度のデザインが上手な国
デンマークは環境先進国
そもそもデンマークは環境先進国ってご存知でしたか?
デンマークでは昨年、消費電力の43.4%が風力発電で賄われ、総発電量に対する風力発電の割合としては過去最高となった。当局がこのほど発表した。
スカンジナビア地域最南端に位置するデンマークは、エネルギー需給で現在約3分の1となっている再生可能エネルギーの割合を2030年までに少なくとも50%に引き上げることを目標としている。2050年までには化石燃料の割合をゼロにする計画だ。
なんと消費電力の4割が再生可能エネルギーである風力発電でカバーされており、それを2050年までにさらに上げていく方針とのこと。
さらに、デンマークのエネルギー自給率は90%を超えます。
そのため、デンマークを旅行していると風力発電機をよく見かけます。
また、デンマーク人は環境を考慮して、移動手段で自転車を頻繁に使用します。
首都コペンハーゲンであっても、自転車専用道路が必ずといっていいほど整備済み。
デンマークは、天然資源に恵まれているわけではありません。
だからこそ他国に頼らない「持続可能な」エネルギー・資源の使い方に対して、取り組みが進んでいると感じます。
日本のエネルギー事情は?
一方の日本の状況はどうでしょうか?
2016年時点で、割合が最も大きなものがLNGで42.1%、その他、石炭と石油を合わせた火力発電で、実に83.8%を占めています。火力発電の割合は2009年当時は61.7%でした。この急速な火力発電依存の背景には、ご存知の通り原子力発電所の稼働停止があります。【エネルギー】日本の発電力の供給量割合[2018年版](火力・水力・原子力・風力・地熱・太陽光等) | Sustainable Japan
日本は、8割超を火力発電に頼っている状況。
そのための天然資源は輸入に頼らざるをえないので、エネルギー自給率は6%に留まっています。再生可能エネルギーも7%ほどの割合です。
日本もデンマークと同様、天然資源に恵まれている国ではありません。
輸入依存度が高い現状は、国際情勢の影響を受けやすく不安定な状況と感じます。
(ということをデンマークに行って初めて実感しました。)
また、化石燃料は有限なので、環境に対する考え方を見直さないといけない時期は必ず来ます。ですが、現在、日本の優先課題としては取り上げられていません。
デンマークのリサイクル方法は?
まず、デンマークの缶、ビン、ペットボトルにはこのようなぐるぐるマークが付いています。
このマークが付いている商品を購入した場合、デポジット(預かり金)を支払います。
デポジットの金額は、マークのA〜Cによって変わります。
- Pant A:1DKK(約18円)、0.5リットル以下のビン
- Pant B:1.5DKK(約27円)、1リットル以下のペットボトル
- Pant C:3DKK(約55円)、0.5リットル以上のビンと1リットル以上のペットボトル
つまり、100円のペットボトルを買いたい場合は、デポジットと合わせて127円支払うイメージです。
このデポジットをどのように回収するかというと、各スーパーに必ず置いてあるこのリサイクルマシン。
こちらの穴に缶やペットボトルを入れると、機械がラベルの文字を読み取ります。
そして、どの種類のリサイクルかを自動計算してくれます。
そうして精算したものは、レシートで印刷され、デポジット金を受け取ることができます。そのまま買い物する場合は、合計金額からデポジット分を引いてくれます。
楽しく積極的にリサイクルできる仕組み
自分が買ったものをリサイクルすればプラマイゼロ。
リサイクルしなければマイナス。
ゴミ拾いやパーティの片付けでゲットしたものをリサイクルすれば、むしろプラス!
また、機械に入れてカウントされていく様子が単純におもしろいです(笑)
小さな子供がリサイクルする様子も見かけました。
これは積極的にリサイクルせざるをえません。
日常的にリサイクルや環境を意識する非常にうまい仕組みだな、と感じました。
日本で同じリサイクル方法が実現できるか?
まず、リサイクル用機械を全国統一で開発が必要ですね。
この時点で、どの企業が請け負うのか、どう選ぶのかで揉めそうな気配が…
機械が開発できたとして、それを全スーパーに設置します。
もうこれは、反発の嵐でしょうね…助成金出すにしても、政府が全額負担は厳しそうなので小売側の負担は避けられません。
さらに、マーク付きラベルへの差し替え。
デポジットマークを印刷しないといけないので、マークのデザイン、統一マークの配布方法、印刷方法の変更にかかる費用負担は誰がやるのか等々…
国としてリサイクルを後押しするので、リサイクル業者も公共機関が請け負うのか、民間も参入させるのかも決めないといけない…
なんだか気が遠くなってきた。日本で国が主導して、ここまでやるのが全く想像できませんね。
そう考えると、これをやり切ったデンマーク政府、受け入れた業界側、前向きに取り組んだデンマーク国民、三者に環境に対する高い意識があってこそ実現した仕組みなんでしょう。頭が下がります。
デンマークは社会制度のデザインが上手な国
今回は環境分野でリサイクルの例を紹介しましたが、医療、福祉、教育、税の分野でも、「これはうまい仕組みだなぁ」と感心する例が多々。
デンマークの社会制度を見ていると、「人の善意」や「努力」と言った不安定な要素に頼らず、無理なく「持続可能な仕組み」をデザインするのが上手な国だと感じます。
これって、日本人が苦手なことで、でも必要な考え方では?
ワーホリで滞在しているからこそ、現地の生活の細かい部分も見えてきておもしろい。